報告 高橋信博




今年もいよいよ禁漁を迎える。 約半年間の渓流解禁であるが、源流の釣りを楽しめる期間はその半分、3ヶ月ちょっとしかない。 だが小・中学校と釣り漬けで学校の成績がみるみる下がり、親父から「釣り禁止令」まで出された経験のある私には、この位でちょうどよいと思うようにしている。 社会人になって渓流以外の釣りの誘惑を拒み続けてきた訳もそこにある。
そう、これでよいのだ。でもやっぱり今年もちょっと寂しい・・・。
カネゴンさんとは春の山菜採りで初めて出会った。 渓流関係の掲示板では度々お見かけしていたのだが実際にお会いしてみると、川越の隣町である川島町在住で、奥様はなんと私の中学の同級生であった。その後7月にお宅にお招きいただき、その時集まった地元に釣り&呑み仲間である「川島おでこ会」の面々との出会いを果たしたのである。
同じ趣味を持つ仲間同士話しは盛り上がり、9月末に一緒に釣りに行く運びとなった。
おでこ会は日帰りか近郊の沢での1泊釣行が主で、山深い源流の経験は少ないようだ。そこでチョイスした渓は今早出沢。 程々(?)の山越えで源流気分も味わえるし、大勢で泊まれるテン場もある。首尾よくガンガラシバナまで行けたらきっと感動してくれるだろう。
その後の打ち合わせ(焼鳥屋)で再び盛り上がり、あとは当日を待つだけとなった。
       
出発の前日、携帯の天気予報をみてはけんちゃん、佐藤とメールで打ち合わせ。新潟県は週末まで雨で絶望だ。 あちこち探してやっと晴れマークを見つけたのが岩手県内陸部であった。ちょっと遠いけど葛根田川なら遡行も楽だし魚も濃い。 けんちゃんとのメールで「行っちゃいますか〜!」となり、急きょ岩手行きが決定した。 今回は残念ながらカネゴンさんは結婚式、総長は仕事が入ってしまい不参加となった。が、この日のためにシュラフとマットを購入し、ジムで体を絞ってきた「おでこ会特攻隊長」ノブリンと、カネゴンさんの次男で高校生、就職が決まったばかりのカネゴンJr.が参戦してくれることになった。
いよいよ葛根田に向けて出発。 佐藤の愛車グランビアはメンバー7人と7人分のザックの重みにフロントタイヤを浮かせながら、夜通し東北道をひた走った。
駐車場から地熱発電所を通過して葛根田川に入る。前回来た時より水量も少なく遡行には問題ない。 沢沿いでナラタケ、ウスヒラタケ、ヌメリツバタケモドキなどを見つける度に足が止まる。「おお、あの上のミズナラ、マイタケが出そうだな!」「そうですね!」などと口先だけでマイタケを探しながらまったりと進む。 途中「お函」と呼ばれるゴルジュで記念撮影。おでこ会の2人も渓相の美しさに驚いている様子だ。 まもなくテン場に到着、タープを張って釣りに出発だ。



地熱発電所を通って入渓


美しいナメ滝


「お函」を行く


おでこ会の2人 いいとこだな〜


タープ張ろうか!?


けんちゃんとまにちゃんは「千葉軍団総帥」高橋みっちゃんオススメのイワナがウジャウジャだという下流の沢に意気揚々と出かけていった。おでこ会の2人には本流を大滝まで釣ってもらい、私と佐藤は途中の支流に入ることにする。 まずはルアーを引くノブリンについて本流を行くが、なかなか出ない。イワナは見えるのだがこの辺りは川底が岩盤で水深も浅い。ルアーだとちょっと厳しい渓相かもしれない。 やがて右岸から支流が入り2人と分かれる。 気温、水温とも低く、雨も降ってきた。テンカラも厳しいかな?と毛鉤を打つと1発でイワナが飛び出した。佐藤もエサで釣り上げる。5〜7寸と小振りだが魚影は濃い。次から次へと釣っては放し、を繰り返していたが、だんだん雨は強くなり寒さに耐えられなくなってきた。「佐藤、帰ろうか〜、オカズはけんちゃん達が釣ってくるだろ。」「そうですね、なんたってウジャウジャの沢ですからね!」 鼻水を垂らしながらテン場に戻ると、間もなく上流からノブリンとJr.が帰還。ネットの中には数匹のイワナが入っている。
あーよかった!こんな遠くまで連れてきてオデコにさせちゃ、留守番のカネゴンさんと総長に呑みネタを提供するとこだった。
「あとはけんちゃんとまにちゃんがウジャウジャと・・・」と言いかけたところで、下流から何やらどよ〜んとした空気に包まれ遡ってくる2人の姿が・・・。
「釣れた?爆釣?イワナはどこ?」「・・・生物反応なしです・・・。」
「なぁにぃ〜!やっちまったな!」「ガセネタだったのかな〜、影すら見えなかったですよ〜。」・・・ここに「おでこ会川越支部」が結成され、けんちゃん、まにちゃんはそれぞれ支部長、副支部長にめでたく就任となったのである。


本流組(ノブリン・カネゴンJr.)



ルアーで見事ヒット!

支流組(高橋・佐藤)


 
小さいけど釣れました〜♪

ウジャウジャ沢(?)組(菊地・馬庭)


 
「・・・・・・・」                                   「・・・・・・・」


雨は降ったり止んだりで安定しないので今夜はタープの下で宴会。寒い寒いといいながら11時過ぎまで盛り上がった。 夜中に目を覚ますと雨はドシャ降りだが増水はしていない。 今早出じゃなくてよかったと思いつつも、晴れマークはいったいどこ行っちゃったんだろう? あまりの寒さにその後は一睡もできなかった。
朝が来て全員を叩き起こす。「今日は葛根田大滝から上流を釣って魚止めを目指すぞ!」と最初は鼻息が荒かった。だが寒さのため皆シュラフから足が出ない。そのうちまた雨が強くなり風も吹いてきた。おまけにヒョウまで降ってきた。 「さ〜み〜ぃ!」もちろん朝食が終わっても誰も釣りに行こうとはしない。
「乳頭温泉でも入って今夜はバンガローにでも泊まるか〜?」「いいね〜乳頭温泉!」「ニュートー最高!」渓にはニュートー・コールが響き渡り、あっという間に片付け、テン場をあとにしたのであった。


 
寒くて下ごしらえも大変                           ツマミ準備完了


震えながらも宴会は楽しい

 
絶品! 山でホタテ焼き                          これも絶品! ラム肉のしゃぶしゃぶ

 
2日目の朝 寒くてシュラフから出られませ〜ん                ・・・お地蔵様?



下山してレストランに飛び込むと、早くも薪ストーブが焚いてあった。岩手山が初冠雪だそうだ。 昼食後はお待ちかね乳頭温泉へ。「ぶは〜っ!生き返るね〜。」「ニュートーオンセンサイコ〜!」 心も体も温まったあとは田沢湖キャンプ場のバンガロー(ファンヒーター付き)で大宴会だ。なんだかついこの前もこのパターンがあったような・・・最近軟弱グセがついてきたかな〜・・・ま、いっか〜、明日は秋田観光だ!


 
乳頭温泉最高!                               乳頭温泉万歳!


暖房付きバンガローで「ルネッサ〜ンス!」


ギョニソー大好きなJr.「ギョニオ(魚肉男)」を襲名

 
寝たらしぬじょ〜(菊地編)



@いつもの通りです 「合掌・・・」


Aみんな一緒に「ハイ、ポーズ!」


無理やり起こして「カンパ〜イ!」


なぜか手にナス めでたい夢でもみてるのかな


3日目の朝、キャンプ場を散策するとセンボンジメジが数株、アミタケが結構採れた。
10時にチェックアウトしてまずは田沢湖を見学。田沢湖といえば1940年の玉川悪水の導入によりクニマスなどの在来魚が絶滅した歴史を持つことで知られている。1972年より中和対策が行われてきたが、いまだ回復には至っていないそうだ。 「辰子像」の脇で観光客が巻くエサに群がる無数の放流ウグイ達を見て、日本人はなんて愚かなことをしてしまったのかとつくづく考えさせられた。
田沢湖を出発して阿仁へと向う。 私達源流を志す者にとって秋田といえば阿仁マタギである!(限定?) 私達が先輩から教わってきた山での生活技術、例えば焚火の起こし方などもマタギ方式だという。年に数回訪れる秋山郷も阿仁マタギと深い係わりがあるのだ。
マタギ資料館ではある発見をした。マタギ言葉(熊→イタズなど)で「馬」のことを「タカシ」と言うらしい。我が渓美隊のまにちゃんこと馬庭隆(マニワタカシ)は「タカシニワタカシ」となる。う〜ん深い、深すぎるぞ阿仁マタギ。
マタギ資料館を見学したあとは森吉でナガサを作る鍛冶屋さんを見学、最後は比内市で秋田名物比内地鶏を食べて観光終了。 十和田インターから東北道に乗り帰路についた。



3日目の朝はキノコ探索


辰子像にて辰子ポーズ♪


マタギの里にて


西根刃物店を見学


比内地鶏の唐揚げ定食


秋田名物「ババベラアイス



ギョニソーもいいけどアイスも旨いッス!


その頃、おでこ会総長は・・・



あ〜俺も行きたかったな〜・・・(手酌)
今年の渓美隊の釣りは無事終了した。 2日目からはすっかり観光旅行となってしまったが、これもまた渓美隊らしい締めくくりといえよう。 来年もまた行き当たりばったりで・・・いやいやバッチリ計画を立てて、新たな旅に出かけよう!

おでこ会の皆さん、来年はガンガラいきましょうね〜♪